数学U 微分法 関数の増減 3次関数のグラフ 日時:平成14年1月17日(木)3校時
対象:高校3年D組(女子42名)   場所:コンピュータ教室 使用ソフト:Grapes  形態:各自操作
(目標)  

(1) 3次関数の係数を変化させてグラフを描き,グラフの特徴を考え理解する。 

(2) 導関数を用いて3次関数のグラフを描くことができる。

(指導時間) 

1時間目 関数の増減と極大・極小,増減表とグラフ  2時間目 3次関数のグラフ(本時)

(コンピュータを活用するねらい) 

(1) パラメーターを変えることにより簡単にグラフを変化させることができるので,いろいろな3次関数のグラフを観察することができ,グラフの特徴を理解しやすくなる。 

(2) コンピュータを自ら操作してグラフを描かせるので,生徒が主体的に取り組むことができる。 

(3) コンピュータでグラフの形を確認することができるので,各自の理解度に合わせて学習を進めることができる。

 
時間 授業内容・活動 留意点
15分 ・3次関数のグラフの特徴を見つける。 3jigraph.gps

・生徒の画面に下のグラフを一斉に提示して,a,b,c,dの各パラメーターを変えて,グラフの特徴を考えさせる。 

・極値の存在するb,cの値にして,aの値の正負の符号によって形がどう変わるかを観察させ,特徴を見つけさせる。 

・b,cの値の変化については,それぞれ正負の範囲に変化させて観察させるに留める。 

・dの値については,y軸方向への平行移動の様子を確認させる。 

・3次関数のグラフが様々な形に変化することを確認させる。

15分 ・(例)y=x3+3x2-2のグラフを描く手順(1)〜(3)をプリントにしたがって確認する。 

・生徒もGrapesを起動させて,各自でy=x3+3x2-2のグラフを描き,グラフの増減の様子が(3)の増減表と一致しているか確かめる。 

・画面のグラフを参考にして,各自プリントにグラフを描く。

・データビュアでプリントを生徒画面に提示して,手順を確認する。 

・増減の様子と極値の値が分かればグラフが描けることを確認する。

17分 ・同様の手順で,〔練習〕の3次関数のグラフを描かせる。 ・生徒の中を回りながら,活動を支援する。
3分 授業ふりかえりシートを記入。
 
 

〔授業の分析〕

1 生徒の授業の理解度,参加度について
 
A B C
授業の理解度 10名 20名 7名
授業への参加度 16名 19名 2名
 本時の目標の「(1)3次関数の係数を変化させてグラフを描き,グラフの特徴を考え理解する」については,「目で見て分かりやすかった」という感想が多かった。しかし,「(2)導関数を用いて3次関数のグラフを描くことができる」については,十分に達成できなかったようである。「関数の増減」の授業時数が本時を含めて2時間しか取れなかったので,生徒にとっては理解しづらかったことと思われる。

 また,A,B,Cの目安を振り返りシートに示しておかなかったので,生徒にとって自己評価の判断がしにくかったことと思われる。目安としては,Aが「良い」,Bが「ふつう」,Cが「あまり良くない」ということでよいと思っているが,今後はこう判断した「理由」も感想とともに書いてもらうようにするほうが,生徒の様子がより分かるようになり良いと思った。
 

2 本時のコンピュータを活用するねらいについて

 コンピューターを活用するメリットは,動きのある変化の様子を目で見えるように示すことができて,学習対象のイメージがつかみやすいという点である。そこで今回は,黒板でわずかな例しか示すことのできない3次関数のいろいろな形を見せて,極値がある場合やない場合のグラフもあるということを生徒が知ることを,ひとつのねらいとした。

 また,コンピューターは関数のグラフを素早く簡単に描くことができるので,生徒が自分でいろいろなグラフを描いて観察することができ,授業で主体的に学習する意欲が増すと期待できる。そこで,グラフを描く練習に一人一人の生徒のペースで,また多様なアプローチの仕方で取り組んでくれることをもうひとつのねらいとした。

 以上のねらいについては,生徒の感想および学習方法を自分で見つけながら活動している生徒の様子を見ると,概ね達成できたと考えられる。しかし,もちろん1でCと書いている生徒がいたことは,おおいに反省しなければいけないことで,コンピューターを使って取り組む内容,取り組み方の生徒への説明の仕方を,今後さらに工夫を重ねて改善していかなければならないと考えている。